kzy.com/diva

DIVA ディーバ
ジャン=ジャック・ベネックス監督作品
1981年フランス映画

■ストーリー

劇場公開時のパンフレットから転載


ディーバは歌の女神。パリの18歳の郵便配達夫ジュールは、ステレオ・カセットつきのバイクで町を走りまわり、倉庫を改造してスクラップ・カーをオブジェとして飾ったロフトに住んで、いつもオペラをきいている。ジュールの女神は美しい黒人歌手シンシア・ホーキンスだ。シンシアはその美しい歌声を、録音も許さなければレコードも出版させないことで知られている。聴衆がいてはじめて自分の歌があるという彼女の歌は、コンサートでしかきくことができないのだ。

DIVA

そのシンシアのパリのコンサートへ、ジュールは愛用の録音機ナグラをもちこみ、彼女が歌うカタラーニのオペラ<ワリー>のアリアを録音し、楽屋でシンシアのローブを盗んだ。テープを録ったのもローブを盗んだのも、シンシアへのあこがれからだったが……。

翌朝、サン・ラザール駅にはだしの女が降りたった。女はナディア。売春組織から逃げだし、昔の仲間のクランツに助けを求めてここに来たのだが、奇妙なパンク・ファッションに身を包んだ殺し屋2人組にアイスピックを突き立てられて、あえなく死んでしまう。しかし死の直前、偶然そこにあったジュールの郵便配達用バイクに、組織の秘密を暴いたカセットテープを隠す。

DIVA


ジュールはレコード店で万引常習犯のベトナム人少女アルバと知り合う。彼女と同棲しているゴロディシュは、神秘的なインテリアをほどこした部屋でジグソー・パズルに熱中し、“波を止めること”を夢見ている男だ。ジュールはこの風変わりなカップルに友情を感じるようになる。

そのころ警察ではサポルタ警視が、部下のモルチエと女刑事ポーラに、重要証拠となるナディアの告白テープを捜索するように命じていた。クランツはポーラの情報屋をしていたのだが、パンク・ファッションの殺し屋たちにナディアと同じくアイスピックで刺し殺される。ジュールの身辺を、何組かの人影が追う。女刑事ポーラと韋駄天刑事のザトベック、パンク・ファッションの殺し屋“カリブ海”と“スキンヘッド”の2人組、さらに台湾系のレコード業者の2人組……。ジュールは自分がナディアの告白テープを持っているとは知らず、追う側もテープが2本あるとは知らない。

夜。娼婦がたむろするフォーシュ街でジュールは黒人娼婦カリーナに声をかけられ、彼女の部屋に泊るが、その間に彼のロフトが何者かに襲われ、膨大なテープのコレクションが荒らされた。シンシアの歌のテープは、さいわいにもアルバが預かっていた。

ローブを返す決心をして、ジュールはシンシアの滞在するホテルを訪れた。最初はひどく怒った彼女も、「あなたの歌を聞きたくて、バイクでミュンヘンまで行きました」と言うジュールのひたむきさに打たれ、少しずつ心を開いていった。朝露にぬれて青く沈む夜明けの街を2人は散歩する……。

台湾系のレコード業者がシンシアを脅迫してきた。プロ級の機材による、彼女のコンサートの完璧な録音テープが存在する。レコード発売の独占契約を結ばなければ、海賊版を出すというのだ。トラブルの原因が自分にあると知ったジュールは、シンシアに返すべきテープを取りに、友人に借りたマラグッティのレース用バイクを走らせる。尾行していたポーラとザトベックをまいたのも束の間、今度はパンク・ファッションの殺し屋たちが襲う。凶弾を受けて動けなくなった彼は、間一髪のところでゴロディシュに救われる。

ナディアの告白テープを聞き、組織の黒幕の正体を知ったゴロディシュは大胆不敵にも黒幕自身に告白テープを買い取らせようとする。2本のテープが発端となり、複雑にからみ合った事件を、ゴロディシュはあたかもジグソー・パズルを組み上げるがごとく、ひとつひとつ見事に解決してゆく……。

*ラストシーンは反転してどうぞ。

すべてが終わり、今シンシアはひとり誰もいないオペラハウスのステージに立っている。突然、無人の客席から拍手が湧きおこり、ジュールが姿を現した。拍手はコンサートの際にジュールが録音したテープから流れていた。驚くシンシアにジュールは、歌を盗み録りしたのは自分だと告白し、許しを乞う。シンシアは怒らない。「私、まだ自分の歌を聞いたことがないのよ」。「聞いてごらん」。そっと抱き合う2人。やがてジュールのテープはまわり、シンシアの歌声がホールいっぱいに響きわたった。


米予告篇へのリンク(IMDb)




kzy.com 総合カウンター