この曲は、無数に存在する「アヴェ・マリア」の中で、シューベルトの作品と並んで
よく演奏されますが、もともとは、バッハ(1685-1750)の「平均律クラヴィーア曲
集」第1巻の第1曲「前奏曲とフーガ」の前奏曲を伴奏部として、フランスの作曲家グ
ノー(1818-1893)が、新たに歌唱旋律を加えたものです。
1999年10月、ミレニアムのプレ・イベントの式典では、イタリアの「ポップ・ソプラ
ノ」歌手フィリッパ・ジョルダーノが、ローマ法王とサン・ピエトロ広場に集まった
15万人の前でたった1曲この曲を大胆で官能的(!)に披露しました。
2000年5月には、エッフェル塔の真下にあるパリ・セーヌ川左岸のシャンドマルス広場
で、小沢征爾指揮によるボストン交響楽団、パリ管弦楽団合同の「2000年記念野外コ
ンサート」でイタリアのテノール歌手、アンドレア・ボチェッリも歌っています。
映画「ディーバ」では、たった一人の聴き手の前で、初めて人に聴かせる曲として披
露していますが、今年は「ミレニアム」ということもあり、大観衆の前で歌われる機
会が多いようです。